青木工務店熊本研修旅行②

2日目は山鹿(やまが)市にある歴史的建造物、八千代座を訪れました。

八千代座は現役の劇場建築で、こけら落としから108年。つまり青木工務店と同級生の建物という事になります。

「千」の字が8つ丸で囲み、中央に「ヨ」で「やちよ」。このロゴが建物の随所に見られ、職員さんの法被にも染められております。

タイムスリップをしたような様子が見られます。丁寧なガイドに、歴史の変遷を感じることができました。

もちろん中大規模木造建築です。7間スパン(≒13m)の小屋組みはトラスで組まれているそうです。

天井には建設当時に出資した若旦那集のお店の広告が綺麗に書かれておりました。当時の原画が大切に保管されていたので復元が出来たそうです。

観客席は舞台に向かって緩く勾配があり、どの席からも舞台用の様子を見ることができます。

歌舞伎役者の足音が響くような花道の足触りもしっかりと確かめました。

奈落の下の回転する舞台装置も見せてもらえました。写真中央が軸の部分となります。

縁を描いたレールの上の戸車の上に丸い舞台があります。回転させるのはもちろん人力で、写真の縦棒を型にあてて4人で廻すそうです。

続いて、和水(なごみ)町に移動。総理大臣にもなった細川護熙さんが熊本県知事時代に始まった熊本アートポリスという地域の歴史と風土を活かしながら後世に残る文化的資産としてのすぐれた建造物を造る構想です。その一例としてこの三加和小中学校が建てられました。木造校舎です。

熊本県からはアートポリスUD班の上野課長補佐、和水町教育委員会の永田係長とご対応いただきました。お休みの所ありがとうございました。

校舎だけでなくもちろん体育館も木造です。体育館のような大空間もしっかりと木造で造ることができるのです。しかも地元の杉の製材利用です。

そしてこの建物は地元の工芸社・ハヤタさんが進めている、合わせ梁で構造材を造る「BP材」と「TKS工法」で造られております。

ご説明に早田社長の他、多くのスタッフの皆様、熊本木材の島村会長と多くの皆様ありがとうございました。BP材は間もなくJAS材認定となるそうです。

規則的に並んだ木造の構造はそのままで美しく見えますね。製材利用というのも大きなポイントです。歩留まりがよい現在の丸太の大きさと住宅用の構造製材との互換性などもよさそうです。

素敵な校舎に生徒さんも自慢が出来ますね。私たちの地元にもこのような木造校舎の建物がある学校が早く実現していきたいと思います。

Gメンばりに皆で並んで記念撮影をいたしました。

皆様ありがとうございました。

午後からは南阿蘇村で建てた木造応急仮設住宅団地を視察です。全木協で建てた団地の中では一番大きな団地で、時期も後半の時期に手掛けたものです。ほぼ県内で対応した仮設住宅の中でもこちらは遠方からの応援が中心で建てられました。

2年経過してもビシッとしております。

仮設住宅の供与期間は2年なのですが、2年経過してもまだ7割近い方が入居されているようでした。

集会所となる「みんなの家」も木造で建てられております。

こちらは設計事務所が設計しております。構造もちょっと凝った建物なので、建築は大変だったようです。

地元の工務店団体、一般社団法人熊本工務店ネットワーク(KKN)の四ツ村事務局長です。初日からご対応ありがとうございました。

発災から仮設建設、その後の復興まで事務局の立場で影となり日向となり奮闘された人物です。穏やかながらも、確たる信念で支えてくださいました。

最後の談話でも、経験者として重い言葉がちりばめられておりました。

私はもともと真面目なので、勉強ばかりのスケジュールなのですがここからはようやく慰安旅行となります。人気の黒川温泉に宿泊しました。紅葉が始まっており、景色も素晴らしいものです。

10月の竣工ラッシュを終えて、スタッフ皆の英気を養う機会となりました。