構造計算のノウハウ

青木工務店では、設計施工の現場は許容応力度計算を自社で行って構造の安全性を確認しております。その作業は建築士として私が現在担当しております。ここしばらくはこれから着工する現場の構造計算と温熱計算が続いており、パソコンの画面とにらめっこです。

プレカットのCAMとの連携で初期入力の負荷はだいぶ低減されたとはいえ、あれこれと調整をしたり梁を組み替えたりとバランスを取りながら目標となるスペックを満たしていくにはそれなりのノウハウとテクニックが必要となります。

大まかな流れは

①:意匠(仕上げの見せ方、天井の高さ)と設備納まり(排水管や電気配線など)を考慮しながら柱や梁の組み方、梁成や接手位置を考える。
②:①をプレカット工場に作図依頼。組み方(主に向きや金物との干渉)に無理がないか入力してもらい図面を起こす。
③:起こしてもらった図面のデータを構造計算ソフトに入れ、耐力壁の位置や水平構面の仕様を入力する。
④:水平構面の耐力不足により耐力壁線を増やす。
⑤:梁成を確認する。
⑥:接合部の耐力を確認する。土台のめり込みも確認。
⑦:基礎の入力、許容応力度計算。

③から⑥は行ったり来たりを繰り返す作業です。耐力壁を入るところにやたらに入れてもバランスが崩れます。高倍率の壁では接合部や梁に負担が大きくなります。そのあたりを適当に解釈して広告の謳い文句にしているのをよく見かけますね。
④では壁の種類を変えて固くしたりするのですが、耐力壁線間の距離が短くなると水平構面の負担が低減され一般的な構造で力を下に流しやすくなります。
⑤では硬い壁で曲げ応力が大きくなることが特に影響が大きいです。化粧梁となってしまう場合は梁成と組み方も配慮。同じ樹種でもJAS材にしてヤング係数を指定したり、見えないところには集成材を使ったりします。根本的に負担を分散するように組み替えることも行います。
⑥では集中応力となった接合部が無いかなどを確認して、できるだけ分散を試みます。場合によって耐力壁をわざと無くして接合部の負担を減らします。

特に、上部構造についてはバランスを重視しております。
偏芯率(重心と剛心のずれ)は0.3以内が規定ですが、0.15以内が優良、私はできるだけ0.1以内を目指します。
①は何気に一番ノウハウが必要だったりします。特に青木工務店では意匠設計者と構造設計者が同じなのでスムーズなのですが、意匠設計者がこの作業をわかっていないと構造計画に相当無理が起こることがあります。開放的な空間で開口部を多く取り壁が少ない、スキップフロア、勾配天井、吹き抜けが多いというのは構造では全て不利な方向になります。そこを高次元にバランスを取ることが、技術者の腕の見せ所なのです。