北海道のパッシブ技術視察

今週は火曜日、水曜日と北海道に行っておりました。JBN次世代の会の活動で、北海道の団体であるソトダン21とパッシブシステム研究所の構成工務店さんなどのご協力を得て省エネ住宅の歴史とパッシブ技術を学びました。

まずは恵庭市のアクト工房さんのモデルハウスを見学です。築3年で展示期間が終わり、販売を予定されているそうです。
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アクト工房の松澤さんにご案内いただきました。高い断熱性だけではなく、デザイン性にも強くこだわっている会社です。松澤さんは私と同じ歳ということもあり、話題も盛り上がりました。
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写真の一番左の方は北海道大学の菊田助教授です。業界でも最若手に部類する先生です。この後は菊田先生のミニレクチャーも受けました。
この後は太平洋建業さんが手がけた、すでに住まわれているパッシブ換気住宅を見学させていただきました。住まわれているので写真は控えましたが、快適な室内を施主様はとても喜んでいらしゃる様子でした。そして

住宅では札幌市独自のサッポロエコ・エネルギーハウス基準認定も見せていただきました。
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2日目には北海道大学の荒谷先生が手掛けたご自身の住宅を見学させていただきました。37年前の建物ですが、すでにQ値1.0を実現した住宅です。

外壁はオール板張りで、当時のまま10年ごとのメンテナンスでほぼ良好な状態を保っておりました。一方で南面については庇絡みの納まりが悪く外壁も落ちてしまっておりました。余計な御世話ですが、工務店のプロとして再施工のアドバイスもさせていただきました(笑)。
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現在お住まいになっているのは北海道大学のタギさんです。タギさんも荒谷先生に学び、自らも建築コンサルを行っております。イラン人ですが日本語はとても流暢ですので助かりました!そして、とにかく快適ということです。
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ペアガラスもLow-Eガラスも無い時代に、木製建具に3枚ガラスを入れてトリプルガラスを、車のガラスフィルムでLow-Eを造って熱損失係数Q値1.0を実現していました。ガラス内の結露対策で外壁から一枚目のガラスは気密よりも結露水を排出する対策になっているということです。実際結露をするのは一枚目の内側だけで2層、3層での結露は皆無ということでした。

一方で、日射取得の為の工夫、重力換気、蓄熱(蓄冷)も考慮されて現在の最新の技術がこの時点ですでに思想にあったことに驚きを隠せませんでした。
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南側の廊下はサンルームのような中間領域で室内環境をコントロールするゾーンです。つくばのLCCM住宅実験住宅と同じですね。業界のレジェンドの荒谷先生、恐るべしです。

実際に当時はドイツから北海道に学びに来ていたそうです。そして現在、日本からドイツに学びに行っているの現状は逆輸入なのですね。
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晩年のレイモンド設計の協会もみせていただきました。聖ミカエル教会です。
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地域ごとの気候特性等で断熱技術、パッシブ技術も異なることを改めて学びました。

次世代の会も全国各地の工務店なので実現する住宅も異なります。そう、それで良いのですね。しっかりと活かして今後につなげていきます。
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