静岡県静岡市清水区にある、曾祖父が85年前に建てた杉山医院は現在も現役の医療施設です。
その大先生から、建物のメンテナンスで出入りをしていた板金屋さんが亡くなり後継者がいないのでせっかくの道具の引き取り手がいないかとお手紙を戴いたので、浜松のサン工房松井社長と一緒に訪問しました。
松井さんは来年完成予定の新しい展示施設に、古い道具を展示したいということでしたのでお連れしました。
奥様と松井さん。始めておあいしたにもかかわらず、たくさんのお話をいたしました。
奥様から思い出話を聞きながら、板金の手道具を見てみました。
専門職種の方に国が取得を推奨してきた一級技能士制度。
とても勉強熱心な方だったのでしょう。
しかし機能せず、職人の地位はまだ向上しません。この様なことからも職人を目指す若者がいなくなる要因の一つなのです。
銅版からたたき出して作った、トラのレリーフです。大きさはたたみ1畳分あります。
銅版で作った道具は遊びで作ったもの。墨壷(すみつぼ)まで作れるとは、相当腕の良い職人だったのでしょう。
なくなった方は2代目の職人でした。これは初代の親方が愛用していた羽織です。裏の絵が粋ですね。遊びすぎて40歳でなくなったそうです。でも、なんだか職人が元気だった時代でいいじゃないですか。