「番匠木工」カテゴリーアーカイブ

幾何学模様が美しい、組子を採用した引戸のご紹介

相模原市南区Y邸に納入させて頂いた幾何学模様が美しい組子引戸のご紹介。

この引戸に施された組子細工は、日本の伝統木工が持つ「用の美」を端的に物語っています。

細く均一に削り出された木片が、わずかな狂いもなく組み合わされ、連続する幾何学模様を描いています。

もう一つの魅力は「透け感」にあります。

完全に遮るのではなく、光や気配をやわらかく通すことで、空間と空間を緩やかにつなぐ。

昼は自然光が文様を浮かび上がらせ、夜は室内の灯りが影となって壁や床に落ちる。

時間帯によって表情を変える点も、組子細工ならではの魅力です。

さらに注目したいのは、周囲の無垢材との調和。

主張しすぎない木目と温かな色合いが、組子の繊細さを引き立て、和モダンな空間に自然と溶け込んでいます。

装飾でありながら、決して華美にならない。

その控えめさこそ、日本の美意識の核心といえるでしょう。

この一枚の引戸は、単なる建具ではありません。

暮らしの中に職人の技と時間を取り込み、日常を少し豊かにしてくれる存在。

それが、組子細工の素晴らしさなのです。

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組子細工制作風景

➡ 職人の呼吸が宿る、日本の「組子」技術

番匠木工の建具・造作例ご紹介

➡ 番匠木工の建具・造作例

職人の呼吸が宿る、日本の「組子」技術

釘を一本も使わず、木だけで精密な幾何学模様を生み出す日本の伝統木工「組子(組子細工)」

細く割った木材に、溝や穴、ホゾといった複雑な加工を施し、カンナやノコギリ、ノミでほんのわずかに調整しながら、一本一本を組み上げていきます。。

まるで木のパーツが息を吹き返すように、形を変え、光を受け、表情が現れます。

この技術のルーツは、今から1400年前の飛鳥時代に遡ります。

悠久の時を超え、数えきれない職人たちの手によって磨かれ、受け継がれてきました。

伝統を守り続ける心、そして妥協を許さない情熱が今日の組子を支えています。

今回はお施主様のご要望で引戸に組子細工を施す事になりました。

ご提案させて頂いたデザインの中から、麻の葉と桜をモチーフにしたデザインをご採用頂きました。

完璧な紋様を生み出すためには、木そのもののクセを読み取り、選び抜いた木を精密に加工できる高度な技術が求められます。

一本の木が持つ個性を理解し、それを最大限に生かす。

古き良き技術でありながら現代の空間デザインにも溶け込み、人々を魅了し続ける日本が誇る美の結晶。

お部屋のインテリアに組子細工を取り入れてみてはいかがでしょうか?

今回制作させて頂いた組子引戸のご紹介

➡ 幾何学模様が美しい組子を採用した引戸のご紹介

地域材をふんだんに利用した認定長期優良住宅・相模原市南区Y邸のご紹介

Y邸は神奈川県産木材をはじめ、地域材をふんだんに利用した認定長期優良住宅です。

準防火地域ですが外皮断熱等級6,偏心率0.1以内の耐震等級3の高性能を確保した住宅にもなっております。


Y様は県産木材バスツアーにも参加されていて、バックグラウンドから家づくりをご覧いただいておりました。 続きを読む 地域材をふんだんに利用した認定長期優良住宅・相模原市南区Y邸のご紹介

鉄骨階段の補修

先日、番匠木工のクルシノから話があり、会社の鉄骨外階段のささら桁の腐食がかなり進んでいる事に気づきました。

この社屋も35年経過するとあちこちで建物の痛みが出ています。

これはまずいなという事になり、協力会社で鍛冶屋さんの三橋鉄工所さんに急遽改修をお願いしました。

踊り場の床なども腐食が進行しております。

普段は見上げたり見下げたりする時間もなく 続きを読む 鉄骨階段の補修

レッドシダーの羽目板

先日はレッドシダーの羽目板などの資材の引き取りに行っておりました。

父の時代に親交のあったK工務店さんが廃業される事になり、在庫の資材を青木工務店で活用して欲しいと連絡をいただきました。

おおよそ30年前の材料です。

この時期のレッドシダーは今のものより大径木から取られているので品質が良いです。

青木工務店の在庫のレッドシダーはほとんど使い切ってしまっていた所でした。

羽目板の実部分は加工する刃物の形状で異なります。 続きを読む レッドシダーの羽目板

造作の木製網戸!

年明けからの着工でOB施主の目黒区T様宅の工事を行っておりました。

新築時はサスティナブル省エネ賞を受賞し表彰式にも呼んでいただいた思い出深い住宅です。

築10年目を超えて元気なワンちゃんによる様々な部分の修理箇所や機械類の寿命などが続いておりました。

追加されるのが広い玄関土間からバックヤードに繋がる通用口の網戸。 続きを読む 造作の木製網戸!

HEAT20G2レベル、地域材をふんだんに使用した認定長期優良住・大和市U邸

大和市U邸はHEAT20G2レベル、BEI と各階の偏心率0.1以内の高バランス耐震等級3の認定長期優良住宅です。

親子3世代に渡り青木工務店に御自宅を御用命いただいており、祖父母の家は私の祖父が代表時代に新築し、ご両親の住まいは父が代表時代にその家を二世帯化し私が担当しておりました。

その時の青木工務店のもてる技術を駆使して行って参りました。

大和市が第一種低層住居専用地域を準防火地域としてからは、この規制で初の住宅となりました。 続きを読む HEAT20G2レベル、地域材をふんだんに使用した認定長期優良住・大和市U邸

ガルバリウム鋼板仕上げのミラー付フラッシュドアの取付け

川崎市K邸マンションリフォームに関するこれまでの記事

7月2日 セルフリノベにイケアハック(IKEA HACK)?
8月6日 IKEAのTOFTBYNを再利用した引戸の制作準備
8月20日 ミラー付きアウトセット引戸の制作
9月3日 ガルバ仕上げのミラー付フラッシュドアが完成

「イケアの(IKEA TOFTBYN)ミラーを引戸に改造したい」というご相談からスタートした川崎市K邸の建具工事ですが、いよいよ本日は最終工程の取付け作業に入ります。

下地を確認しながらレールを取り付けます

奥様のご要望でソフトクローズ装置を組み込んであります。

小一時間ほどで取付け作業を完了しました

ラワン材とガルバリウム鋼板の相性

「今回選んだガルバリウム鋼板のマットな質感とラワン材がマッチしていて高級感がある」とご主人様。

「昭和生まれの私たちにとってラワン材はとても親しみのある素材です。どちらかと言うとチープな印象だったのですが180°印象が変わりました」と奥様からもお褒めの言葉を頂けました。

サンゲツの壁紙「INNOVATIVE WALL」を巧みに使い分けたK邸の内装に合うようにラワン材をご提案しましたが気に入って頂けたようで嬉しく思います。

DIY ① 余った巾木を利用して自らレールカバーを自作

レールの色についてK様と打ち合わせしていた時に「気に入らなければ自分でマスキングテープを貼るなり塗装をするから」とおっしゃっていた意味が判りました。

K様は当初からDIYされるつもりだったようです。

ちなみにこのレールカバーの材料は「巾木」だそうです。

「業者さんから譲り受けたものを切ってくっつけただけ」とK様は楽しそうに語っていました。

巾木を本来の用途以外に使うアイディアは素晴らしいと思います。これぞSDGsですね。

DIY ② ニッチにガルバリウム鋼板を貼る

K様の説明によると「小物を飾る棚を作ろうとは思っていたが、何をやっても中途半端な気がして手つかずの状態だった」と語っていました。

フラッシュドアの仕上げについて考えていた時に「ここに余ったガルバリウム鋼板を貼れば市販のマグネットトレイや収納などを利用できる」と思いついたそうです。

「ミラー部分をカットして残った端材を利用するから」と予めK様からのご要望を板金業者に伝えていました。

クロスの上から両面テープで貼ったそうですが、しっかり接着されていて強力な磁石で引っ張っても剥がれる心配はなさそうです。

活用されていなかったニッチのようなスペースが、マグネットも利用できる黒板兼ニッチとしてアップグレード

「あったら面白いだろうなと思っただけで、今のところは特に使い道は決めていない」そうですが、ここが黒板やニッチ棚として利用できたらとても便利ですね。

K様がチョークでカフェ風のイラストを試し描きされていました。

セルフリノベーションを途中で断念した

畳敷きの和室を床下収納付きの洋室に作り替えたり、ガルバリウム鋼板とIKEAのキッチン収納シリーズKUNGSFORSを活用してレストランのようなオープンキッチンに変身させたりと、K様のアイディアとセルフリノベーション技術には驚かされるものがありました。

今回も当初はDIYでIKEAの大型ミラーとバーンドアを合体させる計画だったようですが、計画途中でご自身では手に負えないと判断されたそうです。

そんなK様だけに感想が気になります。

K様の感想は

ご夫妻それぞれに今回の感想を伺ってみました。

ご主人様「初回の打ち合わせでクルシノさんにウチのインテリアを見てもらっていた事が良かった。こちらの要望に対する彼女のアドバイスは常に適格でした」

「素人ながらこれまで色々DIYにチャレンジしてきましたが、今回クルシノさんのお仕事ぶりを間近で見る事ができて改めてレベルの違いに気づきました」

「作る楽しさを知っているので、これからも自分でできる範囲の事は自分でやりたいと思っていますが、今回は完成形が見えてこなかったので青木工務店さんに頼んで本当に良かったと思います」

奥様「何年も前からドアを付けて欲しかったので大変うれしく思っています。住みながら部分的なリフォームを繰り返してきたので当面は余裕がないですが、いずれキッチンとかも相談したいと思っています」

K様ありがとうございました。

番匠木工では様々な建具や家具などを制作しています

その他造作例

>>>番匠木工の建具・造作例

「こんな収納が欲しい」「あったら便利だと思う」など、K様のようなご要望がありましたらお気軽にご相談下さい。

ガルバ仕上げのミラー付フラッシュドアが完成

板金業者に預けたフラッシュドアが「ガルバリウム鋼板仕上げのフラッシュドア」として作業所に帰ってきたので、さっそくラワン材を加工した取手部分や框部分を取り付けて完成しました。

K様は「IKEAのTOFTBYN同様にドア全体を額縁に見立てたい」とご希望されたので、ミラー本体をドアに埋め込むように加工しミラーの周囲を額縁のように仕上げました。

こちらもK様のご希望で、あえて取手を付けず取手の代わりに大きくスリットを刻み指が掛かるように致しました。廊下側↑と洗面室側↓ではスリットの位置が異なります。

間もなくK邸に搬入・取付け作業に入ります。

次回は「ガルバリウム鋼板仕上げのミラー付フラッシュドアの搬入・取付け」をご紹介します。

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ミラー付きアウトセット引戸の制作

前回「IKEAのTOFTBYNを再利用したアウトセット引戸の制作準備」から続きます。

イケアの大型ミラーTOFTBYNの再利用を断念し、改めて同等サイズのミラーを専門業者に発注致しました。

浴室と洗面所の入口という事で防湿タイプのミラーをご提案いたしました。

K様のご要望でミラーの周囲に縁取細工を施します。

この日は取手部分の材質や表面仕上げに関する打合せを兼ねてK様が作業場を見学にいらっしゃいました。

当初は「無垢のままで」と木の風合いそのままを生かしたいご様子でしたが、無垢のままでは汚れが付きやすい事などご説明したところ「オイル仕上げ」をご希望しご自宅に帰られました。

「フラッシュドアにガルバリウム鋼板を貼ってもらう事は可能でしょうか?」

ご帰宅後すぐにK様からお電話が掛かってきました。

K邸の洗面所周辺の壁はサンゲツの壁紙「INNOVATIVE WALL」で施工されています。

黒板クロスとの調和

「INNOVATIVE WALL」は別名「黒板クロス」と呼ばれ黒板のようにチョークで好きなように描く事ができます。

既にK邸にはガルバリウム鋼板を貼ったドアやキッチンパネルがあり、K様はガルバリウム鋼板も黒板代わりに利用できる事を知っていらっしゃいました。※K邸の場合です。すべてのガルバリウム鋼板にチョークで描けるかどうかは未確認です。

そこで今回のフラッシュドアにガルバリウム鋼板を貼る事を思いついたそうです。

耐久性の高さから主に外装に使われているガルバリウム鋼板ですが、K様はガルバリウム鋼板独特の風合いやマグネットが利用できる磁性体という点を気に入り積極的に内装に取り入れていらっしゃいます。

番匠木工でガルバリウム鋼板を扱うのは初めての事で、特に今回は正確にミラー部分を長方形にカットする必要があります。

板金業者に相談したところ一旦フラッシュドアを預ける事になりました。

ガルバリウム鋼板の端材を有効利用?

IKEAのTOFTBYNミラーの陰に隠れていましたが、洗面所の向かい側にはニッチのような造作があり、DIY好きのK様はそこにもガルバリウム鋼板を貼る事を思いつきました。

ミラー部分をカットして余った端材をDIYで貼られる計画のようです。

どんな仕上がりになるのか楽しみですね。

チョークボード?サインボード?

板金業者から戻ってくるあいだ、倉庫に在庫していたガルバリウム鋼板を使って「ガルバ仕上げのフラッシュドアのサンプル」を制作しました。

これをご覧になったK様から「このままチョークボードとして使えそうですよ、お店の外に立てかければサインボードとして活用できます。カフェやカフェ風インテリアのお部屋に好まれるので『サイズオーダー承ります』としたら如何でしょうか?」とアドバイスされました。

興味を持たれた方がいらっしゃいましたら青木工務店番匠木工までお問合せ下さい。

次回は「ガルバ仕上げのミラー付フラッシュドアが完成」をご紹介します。

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IKEAのTOFTBYNを再利用した引戸の制作準備

「セルフリノベにイケアハック(IKEA HACK)?」の続編です。

IKEAのTOFTBYNミラーは3タイプあり、K様からお預かりしたのは最大サイズの75cmx165cmタイプでした。

厚さは50㎜なので、そのままフラッシュドアに貼る付けると80㎜を越えてしまいます。

重量も約15.9㎏です。

「市販の引戸にIKEAのトフトビーンミラーを取り付ける」という大胆な発想を思いついたK様でしたが「単純に足し算すると過剰になりすぎる」とDIYを躊躇していました。

そこで本体からミラーだけを分離して取り出せるのか検証致しました。

背面から見ると、タッカーとホットボンドのような接着剤でミラーが固定されているのが確認できました。

タッカーの針はペンチ等で外せそうですが、接着剤をきれいに剥がさないと再利用できません。

ミラーはガラスと銀の膜で構成されているので、接着剤を剥がす際に銀の膜を剥がしてしまう恐れがありますし、作業中にガラス面の割れや欠けが発生する可能性もあります。

ドライヤーで温めたり時間を掛けて慎重に作業すればある程度剥がせるかもしれませんが、作業時間と破損するリスクを考慮すると、ここが青木工務店で請け負えるかどうかの判断ポイントになります。

K様に状態をご確認頂き「再利用不要」とのご判断に至りました。

IKEAのトフトビーンはそのままお知り合いの方にお譲りするそうです。

専門業者に同等サイズのミラーを手配しフラッシュドアの制作に取り掛かります。

次回は「ミラー付きアウトセット引戸の制作」をご紹介します。

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